【レポート】事例から学ぶクラウドトランスフォーメーションの成功のヒント(AWS-09) #AWSSummit
こんにちは、おんづか(@onzuka_muscle)です!
この記事は、5月25日に行われた AWS Summit Online 2021 のオンラインセッション『[管理者向けセッション] 事例から学ぶクラウドトランスフォーメーションの成功のヒント(AWS-09)』のセッションレポートとなります。 セッションのアーカイブも公開されますので、詳細はそちらをチェックしてください。
セッション概要
デジタルトランスフォーメーションを実現するため多くの企業でクラウド活用が進んでいますが、ビジネス価値の向上に結びつく活用に至るケースはまだ限られています。クラウド利用のメリットを最大化しビジネス価値を高める活動をより円滑に進めるためには組織レベル、プロジェクトレベル、個人レベルで方向性をあわせ、各レベルでのリーダーシップのアラインが必要です。進むべき方向性を定めトランスフォーメーションを加速させるために、 Cloud Adoption Framework3.0 のパースペクティブであるピープル(=経営層、組織、人材)にフォーカスし、Change Acceleration Frameworkと共に事例から成功のヒントをご紹介します。
登壇者
特に聞いていただきたい方々
自社のクラウドトランスフォーメーションが停滞していると感じられている、エグゼクティブ、CIOおよびIT部門長、クラウド推進組織のマネージャー
レポート
クラウドトランスフォーメーションの課題
- 最大の課題はテクノロジ以外のところにあると言われている
- 人材
- ビジネス慣行
- 財務
- 運用モデル
- 製品開発
- ガバナンスの変化
- 急速なイノベーションの推進
Cloud Adoption Framework(CAF)3.0の紹介
- AWSのベストプラクティスと何百ものクラウドトランスフォーメーションをもとに作成されている
- CAFではクラウド推進を網羅的に行うための6つの視点が解説されている
そのうちの一つである「人」に本セッションではフォーカス
クラウドトランスフォーメーションの加速を妨げるブロッカー
- 組織/プロジェクトレベルのブロッカー例
- 担当部門間でのゴール認識が違う
- ITやビジネスユニットの取り組みが分断、独立している
- 個人レベルのブロッカー例
- 技術スキルがない、もしくは獲得のみにとどまりビジネスを変える行動まで至っていない
- クラウドトランスフォーメーションが停滞する組織で多くみられた共通点
- 目標とするビジネス成果を決めていなかった
- そのため上記のようなブロッカーが発生
Change Acceleration Frameworkの紹介
上記のブロッカーに対する解決策として紹介
※ 私は「アライン」という言葉に馴染みがなかったのですが「足並みを揃える」「連携」といった意味で使われるようです。
Change Acceleration Frameworkの構成
- アライン
- 目標とするビジネス成果を明らかにする
- 特にリーダーシップチームをアライン
- 組織の準備状況をアセスメント
- エンゲージ
- 具体的な戦略と計画を立てて実行
- トレーニングの計画
- サステイン
- 報酬制度や表彰などの制度化
- 役割の見直し
- フィードバックループ
- チェンジマネジメントとして検討の全体像をとらえる、網羅性の確認に役立つフレームワーク
リーダーシップのアライン
Change Acceleration Frameworkの中から「リーダーシップのアライン」を取り上げて解説
大きく三つのステップがある
- お互いを知る
- エグゼクティブ、主要メンバーにインタビューを行う
- 三つの観点で質問
- ビジネス成果/プロジェクト目標の理解
- リスクの認識
- リーダーシップとスポンサーシップの役割
- Gapを明確にする
- 意見の食い違いがある部分を明確にする
- 例
- 認識のギャップ
- 期待値のギャップ
- スキルのギャップ
- Action Planを作成する
- コミュニケーションプラン
- 教育プラン
- アクションについて担当者をアサイン
Change Acceleration Frameworkを活用したケーススタディ
事例二つ+観点の整理で学んでいきます
①クラウドトランスフォーメーションが単にITプロジェクトと認識されビジネスユニットの部長は興味すらなかった
挑戦
- スポンサーシップに課題ありと仮説を置いた
- エグゼクティブコーチングを行った
- 組織/PJ、個人のレベルで共通認識をもたせた
- ビジネスユニットのリーダーはクラウドのエンドユーザーではなくデザイナーであると意識変革
結果
- エグゼクティブ間の役割明確化
- 組織横断型でのCCoEが定義され PJが前に進むようになった
- エスカレーションや意思決定にエグゼクティブ層が関与し、質の高い意思決定が可能に
②CIOからシステムをクラウドに移行するよう指令(三度目の挑戦)
挑戦
- リーダーシップチームに向けてセッションを実施
- CxOと問題の可視化、課題の認識合わせ、共通ゴールの明確化
- エグゼクティブコーチングをおこなった
結果
- 部門横断的なリーダーの積極的関与とCCoEを設立
- Experienced Based Acceleration=EBA(AWSジャパンがお客様と伴走してパイロットプロジェクトを進めながら移行手法、組織変革、カルチャーチェンジを進める体験型ワークショップ)の実行で素早い成果を出した
- 最終的に半年で20システムの移行に成功
③クラウドトランスフォーメーションを担う人材へ高度を変える観点
- IT環境
- 素早く安全に実験できる場を作る
- サンドボックス環境
- 学び方
- 得た知識をすぐに具現化することを習慣化する
- 体験型の学習を習慣化する
- 勉強会・もくもく会・ペアプログラミング
- 試して学びながら自分に合ったものかどうかを見極める姿勢が求められる
- 実践
- 身の丈にあった実践的なPJを立ち上げる
- 早く失敗し改善を繰り返す、早く決断する
- 評価
- チャレンジへの報酬
- 失敗しても褒める・認める
これらケーススタディ(特に①,②)に関連する具体的なエピソードはぜひセッションを視聴してご確認ください!
「人」起因の課題に対する奮闘が伝わってきて面白かったです。
クラウドトランスフォーメーションの成功のヒント
- エグゼティブおよびIT/BU(ビジネスユニット)部門のリーダーシップとアライン
- CIOだけでなくCEOやCTO、BUのリーダー自分ごとにしてリーダーシップを発揮しアラインすること
- プロジェクト初期に実施することがおすすめ
- 「クラウドトランスフォーメーションは技術の問題で〜」という人がいたら要注意!
- CCoEを全社組織として位置付け、機能させる
- サイロ型の組織デザインだけでは取り組みが進まない、限定的な取り組みにとどまってしまう
- 人材のスキル開発に早期に取り組み、全員がリーダーとなる
- トレーニング計画を立てよう
- ラーニングカルチャーを身につけよう
- 「全員がリーダーであるという考え方」(Amazonの考え方)
まとめ
- クラウドトランスフォーメーション停滞の特徴は「目標とするビジネス成果が決められていない」
- 解決策としてChange Acceleration Frameworkのアライン、エンゲージ、サステインがある
- クラウドトランスフォーメーションの成功のヒントとしてエグゼティブおよびIT/BU(ビジネスユニット)部門のリーダーシップとアライン、CCoEを全社組織として位置付け、人材のスキル開発に早期に取り組み、がある
所感
「クラウドトランスフォーメーションを推進したい」と思っている人におすすめしたいセッションでした。
推進にはCxO,リーダーの自分ごととして進めようという姿勢がなにより大事だと感じました。
また、推進を任されていてそれが思うように進まないと悩んでいる人にとっても「なぜ進まないのか?」「どうすればその状況を打破できるか?」のヒントが盛りだくさんだったと思います。
セッションに添付されている資料もとても有益だったのでダウンロードして、社内で説得する際の資料作成の材料にするのも良さそうです。
2022/6末までセッションは試聴可能なので気になる方は見にいきましょう!!!